東京高等裁判所 昭和32年(う)2370号 判決
被告人 高橋正男
〔抄 録〕
被告人ならびに弁護人は、「被告人の所為は森林窃盗に該当するものであるのに、これを普通の窃盗罪に問擬した原判決は不当である。」と主張する。そこで記録を検討すると、原審第一回検証調書の記載と、当審証人薄井誠一、同会沢作太郎、同齊藤徳郎の各証言を総合して考えると、被告人が本件木材を窃取した場所は、その四囲の状況からみて森林法にいわゆる森林と認めるのを相当とするところ、被告人の窃取した木材は、その森林の産物であることは一件記録に徴して明白であるから、被告人の本件窃取行為は森林法第百九十七条に該当する犯罪であるといわざるをえない。従つてこれを単純窃盗であると認定し、刑法第二百三十五条を適用処断した原判決は事実を誤認し、ひいて法令の適用を誤つた違法があるから破棄を免れない。論旨はいずれも理由がある。
(三宅 河原 下関)